節税の助言や指導を顧問税理士にお願いするとイヤな顔をされる気がします。
節税の相談って、税理士にしてはいけないのでしょうか?
節税は、不正や違法な手段で税負担を減らすことではありません。節税は、税法上の有利な課税方法を選択したり、中小企業優遇税制等の特例を適用したりして余計な税金を負わないようにすることです。
ですから、節税の相談に乗り助言指導が出来るのは、むしろ税と会計の専門家である税理士しかいないでしょう!!
節税に対する認識は、税理士の出身や考え方にもよりますので、もしも「イヤだ」と言われれば、受け入れてくれる税理士に相談する他に方法はないですね。
節税相談を避ける税理士は、「相談者自身が“節税と脱税”“適法と違法“の境を理解していないから、節税という名の助言や指導は税理士にとって危ない?!」という心理かもしれません。
なぜなら、税理士法には脱税相談等の禁止と懲戒処分(36条では不正に税を免れようとすることについて指示や相談に応じることの禁止、45条では税理士が、故意に真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成をしたときの業務停止等)が定められているから、平たく言えば、税理士が脱税を手伝うと職を失う…ということです。
税理士は、皆さんから報酬をもらって働くサービス業ですが、一方では、税に関する不正や不法な行為には毅然とした態度をとる仕事でもありますので、そこも含めて相談し甲斐のある良い税理士を選んでください。
今期の売上を来期に遅らせるくらいは、脱税ではなく節税なので別に構わないと思うのですが、うちの税理士は厳しくて認めてくれません。
チョットくらいなら問題ないだろう…とか、調査でバレたら払えばいいだろう…という方がいますが、それは違います。チョットでもその内容によりますし、バレた後に頭をかいて済む問題とそうでないものがあります。
脱税は「意図的に事実を偽り仮装隠蔽する不正な行為」によって税負担を免れたり還付を受けたりすることです。つまり、そこにウソがあるかどうかです。
だから、真正な事実に基づく会計と税務処理であれば適正・適法(節税)で、それ以外は何らかの不正か違法がある(脱税)ということになります。
そのため、今期の売上を来期にするだけでも、事実を偽っているので“脱税”です。
ただし、脱税という税法違反にも、道交法違反と同じように、「行政罰」と「刑事罰」があります。チョットしたスピード違反は行政罰で反則金ですが、飲酒による危険運転は刑事罰では禁固刑・懲役刑又は罰金です。
脱税の「行政罰」は“重加算税”というもので、追加で納めるべき本税の35%が追徴されます。脱税の「刑事罰」は、その法人の代表者や従業員等に対する10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金(法人税法159条)です。
悪質であるか、免れた税額がどのくらいかにより異なります 。
そのほかに脱税と節税の区別の難しいものに「租税回避行為」というものがあります。もっぱら租税負担の軽減を目的として、不正や違法ではない形式の契約や取引を課税上有利になるように装って課税を逃れる不当な行為のことを、租税回避行為と言います。
法の抜け穴を見つけ、理論の網をくぐる悪知恵の類で、法の趣旨や目的からみて実質的に問題のある行為です。だいたいの場合は、税負担軽減以外の経営や経済的な合理性は見いだせないものが多くなります。
結局は…経営者の税に対する基本的な意識の問題であり、コンプライアンスや倫理観の問題です。
節税の本やネットの記事もたくさんありますが、たくさんあって良く分かりません。
税理士に聞けば、あれもダメこれもダメ…って、節税は一体どうしたらいいのでしょうか?
警察署、労働基準監督署、税務署…署の付くところは法の番人だから逆らっても無駄だよ(笑)…と言った人がいます。
節税は、法律や行政機関と戦うことではありません。
私は冗談で「脱税に必要なのは覚悟と度胸、節税に必要なのは(税法の)知識と(経営の)知恵」と言うことがあります。
節税の基本的なことを教えましょう。節税には、①経営の視点、②会計の視点、③税制の視点が必要です。
多くの方は、③の税制を先に考えます。何か得になる税制はないか?ということです。
例えば、中小企業投資育成税制を適用すれば即時償却や税額控除ができますし、所得拡大促進税制を適用すれば法人税の最大20%まで税額控除ができます。
でも、大事なことは、その適用のためには投資をすることと賃上げすることが必要で、どちらもコストアップになることです。
言うまでもなく、不要不急、経営戦略方針に適合しない無駄な支出をして納税額を減らしても無意味です。つまり、経営の視点なくして有利な税制は使えない。経営あっての節税だということです。
それが①の経営の視点であり、節税には最も大切です。
利益は適切な経営判断の証であり、利益がなければ経営財務は成り立ちません。利益が出れば必ず納税が必要ですから、納税が対外信用を作り財務基盤を作るといえます。節税の王道は、“決算見込利益を期中に効果的に上手く使うこと”です。
そのためには、せめて決算三月前くらいには信頼できる決算見込みと税額予測ができることと、経営者の将来に向けた経営目標や戦略が明確であることが必要です。
要するに、今期で出そうな利益額を予測して、来期以降に行おうと考えていた経営戦略・戦術に投資や費用を振り向けることです。
ちなみに「事前節税・事後脱税」という言葉があります。3月決算の会社が4月を過ぎてから利益や税金をみて策を弄すれば脱税につながる…という意味です。
適正な決算予測をするためには、毎月の信頼ができてタイムリーな【月次決算】が必要です。
いつも決算申告の期限近くなってから申告書が届き、そこで初めて所得額や納税額が分かるという状況なので困ります。
どうにかしたいのですが、どうしたらいいでしょうか?
もちろん、税理士事務所にもっと早く決算申告を完成してもらうようにお願いしてください。
実に不思議なことですが、こんな簡単なことも率直に税理士に要請しない経営者がとても多いです。本来の税理士業務は、申告期限までに遅れることなく税務申告書を作り、納税者に納税を促すことです。
決算書は、その税務申告書の添付書類です。
一方、経営者にとって決算書は、一年間の経営判断と努力の成果を表すもので、今後の経営と金融機関等の信用を左右するものです。
顧問税理士と社長の間で、決算書の意味合いや重みが異なっているのではないでしょうか。
税理士は経営成果としての決算書に、社長は納税(節税)に関心をもって、もっと質問や意見を交わすことが出来れば良いと思いませんか?!
事務的には、毎月の試算表が翌月中旬までに上がるようになっていれば決算が遅くなることはないですし、決算前に決算について打ち合わせができていれば決算はもっと早く上がります。
そうすれば納税資金の目途も早くついて安心ですし、次年度に気持ちも向き、金融機関の信用も得やすいでしょう。
そのように変えるためには、税理士事務所にだけ依存しても不可能です。
是非、税理士事務所の指導支援を得て、自社の経理会計のレベルアップを進めてください。
毎月税理士事務所に言われている資料や書類を持って行っているのですが、必要になってこちらからお願いしない限り、年に一回、決算の時に会計を締めているようです。
毎月試算表を作った方がいいでしょうか?
年間の取引数か規模がよほど少ないか、不動産賃貸や保険代理業のように取引形態が決まっているような会社でない限り、簿記会計において月次試算表を作るというのは基本中の基本です。
年に一回だけ、山のような経理資料を整理して会計処理をすることの方が明らかな例外です。
試算表というのは、その名の通り日々の取引の会計処理が適正に行われているかを試すために作られたものです。英語ではトライアル・バランス(T/B)と言います。
コンピュータ会計が一般化した今日では、試算表の意味は変わりましたが、毎月の会計を締めて確認し、合わせて月々と累計の業績などを把握するために、試算表は相変わらず重要です。
私たちは、あえて試算表と呼ばず「月次決算」と言います。年に一回ではなく、毎月決算をするつもりで会計を締めるということです。
ですから、減価償却費は勿論計上しますし、可能な限り棚卸も入れてその月までの信頼できる利益を把握します。
月次決算が経営者にとって重要な情報となれば、毎月の締めも早まり、決算も早まって、決算予測・対策や適正な節税も可能になります。
今は税理士事務所で試算表や元帳を作ってもらっているのですが、できるのが翌々月の末くらいになります。
自分の会社で毎月の会計処理を行った方がいいという話を聞きますが、できるものでしょうか?
私も、ご質問のようなケースを何度も経験しています。
ある時、ベテランの経理部長さんに、「毎月の試算表が翌々月になるということだと決算のときは間に合いませんね?!」
と尋ねたところ、こう答えが返ってきました。
「いやいや、決算のときは頑張りますので…!」
経理のための経理事務をやっている、税理士事務所や税務署のために決算を作っている…ということです。
決算は会社のもので、経営者のためでなければなりません。日々の経理がしっかりと整然と行われていなければ、とても正しい会計は無理ですし、適正な決算と申告は難しくなります。
会計をもっと身近に、自社でできるようになりましょう!
昨今ではコンピュータ会計がとても簡単で身近なものになってきていますし、ソフトウエアもクラウドによるものなどがあり、種類が多様になっています。
経営者は、経理事務担当者や税理士事務所の発想や意見に縛られずに、経営に関する数字をどのタイミングで、何をどんなふうに見たいのかを明確に主張されることが大事です。
会計処理は税理士事務所に丸投げでも、現金や預金の出し入れや売掛金の回収と仕入れ支払、資金繰りなどは自社で行っていると思います。
その程度の事務作業量に少し方法や道具を変えて、一手間加えれば会計は自社でできます。そうなれば、たかが経理会計が変わるだけで、経営が変わります。
もちろん、税理士事務所にとっては、手間作業が減って知的作業(税務会計のチェック指導、税務等の相談など)が増えることになりますので歓迎されるはずです。
自社で日々の会計処理や毎月の試算表などを作成しようと考えて税理士事務所に相談したところ、税理士が推奨する会計ソフトを使うように言ってきているのですが、勧められるもの以外を使ってはダメなのでしょうか?
結論から言えば、税理士事務所から勧められるソフトを使わなければならないことはありませんし、そのことによる不都合は全くありません。
もちろん、あなたの会社で経理担当者や経営者に特にこれといった要望も要求もなく、何を選んだらいいのかわからない…という状況なら話は別です。様々な会計ソフトを調べたり、資料を取り寄せたり、プレゼンを見たりするように、税理士事務所のおすすめソフトも良く勉強されることをお勧めします。
結果として、税理士事務所推薦ソフトを使って、よく指導をしてもらえれば安心感も高いはずです。
以前に、こんなことがありました。
ある会社で、市販の会計ソフトを購入して自力で仕訳入力をして試算表が作れるようになったのですが、税理士事務所からは「それでは決算ができないので、今まで通りの会計仕訳伝票を作ってください!」と言われ、かえって作業量が増えてしまったというのです。
これは、税理士事務所で使っている会計ソフトに顧問先の会計データが処理されていなければ、税理士事務所の事務の流れや慣れにとって都合が良くないということだと推測されます。
税理士事務所の中には、ITに強くない、だから他の会計システム等は触りたくないというところもありますが、でも基本的に顧問先のためにより良い指導や支援をすることを使命としているのが私たち税理士ですので、顧問先企業の成長や要望、経理レベル等の都合を優先して指導をしていただけるよう丁寧にお願いしてください。
毎年、決算書を作ってくれるのですが、会社としては、決算を詳しく説明をしたり、内容を分析して指摘して欲しいと望んでいますが、そういうことは税理士事務所にお願いしてもいいものでしょうか?
もちろん、そのようにお願いしてください。
ただし、誤解の無いように一つ申し上げておきたいことがあります。税理士は、中小零細企業の最も身近にいて馴染のある専門職で、多くの企業が税理士を顧問としています。
ですから、経営管理をサポートする専門職のいない中小零細企業から様々な専門外の質問や依頼を受けます。でも、税理士はその名の通り税の専門家であって、税理士試験に合格して税理士になった者でも、簿記会計と税法は試験科目にありますが、税務や経営等の分野は専門外なのです。
会計数字を処理しているからと言って、経営財務もわかると思っている経営者が結構多いのですが、そういうことならば、実は税理士より経理担当者の方がより詳しいはずです。
とはいえ、中小企業にとって決算書が最も専門家の知識と指導を得て丁寧に作られた経営資料ですから、税額計算と税務署提出のためだけで終わらせるのは勿体ないと思います。金融機関は、決算書そのものの内容の良し悪しと同じくらい、社長自身が決算書を理解して経営の実態や問題を把握しているかに関心をもっています。
是非、毎期の決算書を社長がシックリくるまで説明してもらってください。
比率がどうとか、平均値に比べて良いとか悪いとかを分析する前に、自分の会社の決算に並んでいる科目の中身や意味を知るところから始めてもいいでしょう。
年度当初に立てた目標や行動計画が、日々の社員の苦労や努力が、決算書にどのように表現されているのかを知ることが、経営者にとって最も大切です。
決算を理解し、評価反省して、翌期を見通すということが、年に一回の健康診断と同じ意味を持ちますので、税理士を【かかりつけドクター】として活用することをお勧めします。
私が以前に勤務していた会社では、毎期の目標や予算を作り、毎月その予算と実績を比較検討していたので、自社でもやりたいと思ったので税理士に相談したのですが、「小さな会社ではやらなくて良い」と言われてしまいました。そうでしょうか?
小さい会社だからやらなくていいなどということは無いと、私は思います。
私が予算つくりや予算と実績比較の検討などを、スポットで、あるいは、継続してお手伝いした会社はみんな社員数100人以下の会社です。
ですから、私は経験的に予算という言葉に違和感を持ち続けています。
予算というと、古き良き昭和の会社か官庁の予算のように、収益予算は達成して当たり前で、費用予算は使い切るものというイメージです。そうすると予算数字は、現場の実感や現実の問題をやや離れた机上の数字となる傾向があります。
つまり、目標・予算づくりや予実比較検討で大事なことは、本来の目的を見失って形式に陥らないことだと思います。
年度計画があって予算に意味があります。
計画や予算が要らないという経営者は大きく下記の三つに分かれると思います。
①②の考え方の経営者は、今は少ないと思いますが、不確実な経営環境に対して準備や計画無く、経験をなぞるだけで新たな成果が生まれるとは思いませんし、だからこそ、計画通りに行かないことも大事なのです。
あのトーマスエジソンは「幸運とは、計画とチャンスが出会ったときに起きるもの」であると言っています。天才にも事前の準備や計画があったから成功や勝利があったということです。
③については、だからこそ、会社の目標に対して少ない社員が理解と貢献意欲をもってもらい、その進捗と結果を共有してもらって組織の一体性を向上させるために計画や予算に意味があると考えます。目標だけでも社長の強く明確なメッセージとして意味があります。
年度の方針や行動の計画を財務数値で表現したものが予算です。
具体的な行動の計画が無いのに予算だけがあるということがあります。その予算は、前年実績に対する加減です。もちろん、過去の実績の積み上げや延長線上に描く計画なら、時間の浪費になりかねません。
ですから、予算に対する社員全員の当事者意識と自覚が非常に大きな意味を持ってきます。
すなわち、予算つくりで最も重要なことは、方針、目標、及び改善行動の計画に対する合意形成のプロセスに十分な時間を割く事です。合意形成に十分な時間を割いて作成された「計画(予算)」が、社員全員の力を結集させ、目標達成につなげることを可能にできます。
是非、会社の規模が少なければ、そのメリットを大いに生かして、皆の心が通う予算つくりと予実比較を行ってください。
金融機関に経営改善計画を作るように指導されましたが、作り方が分かりません。
税理士に相談して作ってくれることになったのですが、何だかシックリきません。それでいいのでしょうか?
自主的に経営の潜在的な問題や課題を見つけて、それを未然に解決しようという早期の経営改善行動や計画ではなく、金融機関から求められて経営改善計画を作るというケースでは、会社の信用に対する金融機関の評価の変化の表れととらえなければなりません。
決算書を基礎に行った企業の信用の評価でランクが下がってしまった場合には、通常は、金融機関は融資を手控えるか、金利や担保などの条件を厳しくする等の行動に出るのですが、その前に、現状の経営状態が改善される見通しがあるのならば引き続き支援していこうという姿勢のときに、経営改善計画の作成提出を要請してきます。
すなわち、会社にとっては、自社の業績や財務状態が金融機関に警戒感をもたれていて、着実に改善させなければ将来的に資金が細ってしまい経営が危機に瀕する可能性がある状況と理解しなければならないということです。
当然、作り慣れていないものですから、税理士など外部の専門家の力を借りることは良いのですが、数字だけの曖昧で適当な計画表になってしまってはいけません。
一番の当事者である社長自身が納得できるものでなければ問題があります。
経営状態が悪化した、あるいは、その傾向に陥った原因を具体的かつ明確に、それを確実に解消して利益状態を回復する行動を表した計画数字であって、社長が堂々と説明できるものにしてください。
決算期末ギリギリになって思ったよりも大きな利益が出ることがわかりました。
そんな時に生命保険を使うと結構大きな節税効果があるとアドバイスを受けましたが、うまく理解ができません。
決算にあたって生命保険を掛けるのは節税になるのでしょうか?
生命保険加入の一番のメリットは、「利益の繰り延べ」です。
期末ギリギリになっても対応できることと、保険料を年払い契約として決算月に一括で支払いすることで、本来来期に属する分の保険料もその年度の損金(短期前払費用)になるということが、「利益の繰り延べ」による駆け込み節税の仕組みです。
言うまでもなく、真っ先に注意すべきことは、「保険をかけることの本来の目的」と「毎年継続して保険料を払うことの負担」を冷静に考えて、節税に盲目的にならないようにすることです。
例えば、将来の役員退職金の資金準備を兼ねて生命保険を使おうと考えていたのであれば、その支給時に保険解約返戻金という入金を合わせることができますので、もし退職時期に業績が悪くキャッシュフローが厳しくても支払いの資金が確保できます。もちろん、死亡保障がありますので、万一の時には役立ちますし、払込保険料と返戻金の差額は死亡保障だと考えればお得に保険がかけられるということもできます。
問題は、保険会社が示す「実質返戻率」というのが理解しにくいことだと思います。
支払保険料500万円で10年の返戻率98%、実効税率35%で計算されているとします。
保険料を払わない場合の税引き前利益が3,000万円とすると、税額は1,050万円ですが、保険料を支払うと税額は875万円になります。
つまり、保険を払うことによって175万円だけ節税になったということです。
この175万円は、保険料を支払うことにより税負担が減ったものなので実質的な保険料負担は、500万円―175万円で325万円であるという計算になります。
その計算で行けば、保険料負担総額は325万円×10年=3,250万円ですから、返戻率は返戻額4,900÷実質保険料3,250万円で150.77%となるわけです。これが実質返戻率といわれるものです。
初年度 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 6年目 | 7年目 | 7年目 | 9年目 | 10年目 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
税引前利益 | 3,000 | 3,000 | 3,000 | 3,000 | 3,000 | 3,000 | 3,000 | 3,000 | 3,000 | 3,000 |
保険料支払額 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 | 500 |
解約返戻金 | 4,900 | |||||||||
退職金 | 5,000 | |||||||||
繰越欠損金 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
法人税等 | 875 | 875 | 875 | 875 | 875 | 875 | 875 | 875 | 875 | 840 |
税引後利益 | 1,625 | 1,625 | 1,625 | 1,625 | 1,625 | 1,625 | 1,625 | 1,625 | 1,625 | 1,560 |
保険料であれ税金であれ「社外流出」という意味では変わりません。
保険料を支払うことにより、税金が保険会社に支払われる保険料に振り変わっただけなので、トータルの支出額は変わりません。だから、必要な保険でなければ意味がないのです。
そして、保険で節約された税額は、ずっと税引き前利益が同じと仮定すれば、後々取り戻されるということですから、保険支払いにより納税時期がずれるだけなのです。つまり「利益の繰り延べ」ということです。
もちろん、この例のように利益が続かなければ支払保険料が負担になってしまうでしょう。
これまで税理士事務所さんの指導指示に従って経理を進めてきましたが、いつも他に良い方法はないのかと思っており、相談しても経理事務改善やIT活用に詳しい指導を得られませんでした。
私どもが指導させていただいた例を以下に記しますので、是非勇気をもって取り組んでください。
【社員数30名弱で複数支店を持つ卸売業】
今まで手書き帳簿で会計処理していましたが、クラウドシステムの導入を支援し「各支店の経理担当者には日々の現預金のみ入力させ、本社の方で全体を管理する」という流れにすることで、社長がリアルタイムに試算表を確認できるようになり、さらにクラウドを利用したことで、支店間VPNネットワーク構築等のコストも抑えられました。
【社員パートさん50名の食品加工・卸売業】
会計と給与計算の代行を会計事務所に依頼している状況から、自社で全て処理できるよう支援しました。
事務員には会計の科目や機能等の処理権限を設け、責任者の方で全体を管理できるようにしたり、給与の振り込みをインターネットバンキングで出来るようにしたり、会計給与に関しては、ゼロからご指導させて頂きました。
販売管理については、当初「楽一」を事務員お一人で処理されていたのが、現在は取引量が増えパソコン4台をフル稼働して処理されるまでになりました。さらに今回大手との発注データの受け渡しによる取引も開始されるようになり、お客様の会社成長に少し携われたと自負しています。
【社員パートさん30名弱の飲食業、販売、サービス業を営む会社】
今まで、会計事務所に記帳代行依頼されており、手元に試算表が届くのが2~3か月後となっていましたが、自社で会計入力ができるよう支援し、翌月には締めて正しい試算表を見られるようになりました。
社長も部門別の損益など少しずつ会計に興味を持つようになってくれました。
ほかに、昔から務めていた経理の担当が辞めることになった際に、これを機に古いやり方を変えて、社長や新しい事務員が分かりやすく、ミスを減らせるような体制にしましょうと、意識改革&経理改善のアドバイスをしました。
今まで手書きで管理していた売掛台帳や元帳を廃止し、簡単な売上管理ソフトを導入して請求書発行から売掛金の管理のシステム化や、店長と経理の間で馴れ合いになっていた販売部門の売上を、複写式の納品書記入を徹底させモレの無いような流れを指導し、以前より経理状況は良い形になりました。
【社員数80名の自動車総合整備業】
経理実態調査と経理業務フロー作成を行い、事務の滞る原因の解明と改善の指導を行いました。
経理担当者や工場の方にもヒアリングを行って全社的な業務フロー作成したことにより、フロントから経理に流れてくる間に、様々な理由で不正確な情報となり、最終的に手作業での膨大なチェック作業を行っていたことや、経理で無駄な書類を作り続けていたこと、さらに経理の方はそれを「仕方ない」と思って続けてしまっていたことなど多くの気付きを得ていただきました。
組織が大きくなると、経理会計セクションだけを見ても改善にはつながらず、全体の流れを考えたシステムを構築することが重要であることを指導できたと思います。